Report
  ここのところちょっと難しい話が続いた。さすがにこの手のドラテクっぽい話には反響も多く、大変うれしく思うのだが、全ての基本でありもっとも大事なことはreport1とreport2のつもりなので、途中から読んでいただいているかがたがたにはぜひ前に戻って読み直していただきたいと思います。で、今回はちょっと箸休め。気楽に読んでいただきたい。

 ジムカーナで速く走らせるための”走らせ方の正解”があるとすれば、前回お話したポテンシャル使用率100%を維持しながら、”理論ポテンシャルの引き上げ”と”距離の最短化”の両立にあると考えます。この両立というのが非常に厄介で同じコースでも車種やセッティング、ドライビングスタイルによりそれぞれ異なる損益分岐点(最良点)が存在するはずです。例えばスタート地点から50m離れた所に1本のパイロンを置いて、そのパイロンをUターンしてスタート地点に戻るコースでも無限の走行ラインが存在します。パイロンまでまっすぐ進んで180度サイドターンしてまっすぐ戻る(図1)。パイロンまで大きな円弧を描いて2速にシフトアップして回る(図2)。どちらもポテンシャル使用率は100%だしミスコースでもないが、前者(図1)のほうがやっぱ速そうですね。でも、前者が正解最速ではありません。前者と後者の走らせ方の間(中間的な走らせかた)のどこかに、最速ラインが存在するのです。具体的に言うとDC2の場合、超チョン引きサイド?位が妥当と思います(図3)。では、そのパイロンからゴールまでの中間地点に1本パイロンを追加した場合、今度は普通のチョン引きサイドがよさそうで(図4)、追加したパイロンをもっとターンパイロンに近づけると、180度ターン(図5)、もっと近づけると250度ターンになるのです。

 コーナーリングも同様、進入がきついコーナーや、逆に出口がきついコーナーではアプローチのでのブレーキング、ドリフトコントロール、立ち上がりでのアクセルコントロールのやり方が異なります。短く強いブレーキングか、ゆるくて長いブレーキングか、はたまた場合によっては、進入でチョンとブレーキングして、コーナーリングの途中でもう一度チョンブレーキングとか。
 1本目の走行ビデオをみて、自分がサイドターンをしたところを自分より速い選手がグリップで曲がった場合、2本目は自分も真似してグリップで、なーんて場合も同じですね。

 このように、走らせ方は実にバラエティーに富んでます。そして重要なのは、より多くの手法を限りなく100%に近い成功率で蓄えていなければならないということです。 ドライビングテクニック+セッティングというタンスの引き出しをたくさん持って、慣熟歩行の時や他人のアドバイスや走りを見て「さて、僕はどれを使うかな」という品定めをするのです。ターン一つでもAの方法しかできない(成功の自信がない)選手が、速い選手のBの方法を真似したところで、ポテンシャルを充分に使えず結果の順位は理想をはるかに下回ります。コーナーリング中のブレーキングなんか練習したことない選手が本番で人の真似してやれば、スピンするか、スピンしなければ手前で抑えすぎるか、どっちにしても表彰式を指をくわえて見るのです。

 上手なドライバーは沢山の引き出しを持っています。そしてその中から無意識、又は意識してテクニックをチョイスしています。場合によっては、スタート後に選択を無意識に変更したり、手前の失敗をフォローする形で次のアプローチの方法を変更させたり、車の不調で急遽引き出しを余儀なく変更したり、状況に応じて臨機応変に対応しています。そして全ての引き出しの失敗が極めて少ないのです。
 沢山の引き出しを作るには、もちろん練習が大切ですが、人の走りを良く見ることも大切です。あなたが感じた限界をうまい人はあっさり破っているはずです。これ以上無理だと思うことに挑戦する練習方法がお奨めです。すごく狭い8の字ターンやスラローム、3速コーナーリング中のフルブレーキングや、チョンブレーキのところを全開で行ってみたり。とにかく自分の考える限界を意識して破って見ましょう。新たな引き出しがきっと増えますよ。
 
 常日頃の練習で沢山の引き出しを作り、作ったものは錆びないように磨いておくこと。そうすれば初めてのコースでも怖いものなしで気持ちよく走れますよ。
 あなたのタンスは何段ですか?僕のタンスは、、、まだまだです(^^;
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9 「”引き出し”たくさん」 2003年7月21日

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