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  実はもっと後のほうで登場する予定のテーマだったんですが、これから先のテーマ解説にどーしても必要、というか説明が楽になるので繰り上げての今回登場です。ポテンシャル使用率???聞いたことありますか?勝手に僕が名前を付けました。

ポテンシャルという言葉はご存知ですか。辞書によると、
ポテンシャル
2 [potential]
(1)可能性としてもっている能力。潜在的な力。
だそうです。車には各々その車に応じた”ジムカーナで速く走るためのポテンシャル”があります。このポテンシャルを決めているのが、@エンジンが発生する駆動力、とAタイヤと路面の摩擦力です。だいたいほとんどの車がこの二つに支配されます。車重は?タイヤは?ブレーキは?と思われた方、車重やタイヤは@とAをより有効に働かせる一つの要素です(もちろん重要ですよ)。ブレーキはフルブレーキングしたとき4輪ロックするだけの能力があれば車のポテンシャルとしてはやはりAの範囲内で支配されるわけです。例えば3速で直線を全開加速しているときは100%@エンジン駆動力が支配し、比較的小さな定常円を旋回中は100%Aタイヤの摩擦力が支配します。これがその車固有のポテンシャルなのです。また、ハイスピードなレースは競技中のポテンシャルの比率が@>Aとなります。ジムカーナのような低速で旋廻の多い競技になるとこれが逆転して@<Aとなります。僕の感覚的には@は20〜30%、Aは70〜80%程度です。
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8 「ポテンシャル使用率」 2003年7月9日
 ジムカーナでもレースでも速く走るためには、速く走るための理論ポテンシャルに実態を限りなく近づけることです。
図3と図4はそれぞれAさん、Bさんのスタートからゴールまでのポテンシャルの使い方を示すものです。AさんがうまいドライバーでBさんが下手なドライバーということは一目瞭然です。Aさんは終始ポテンシャル100%の近くを満遍なく推移しています。一方Bさんはスタートやブレーキング、立上りでポテンシャルを上手に使えず余らせてしまっています。唯一100%に近いのは、直線でフル加速の時だけです。いわゆる直線番長ですね(^^)。でもブレーキング前のシフトアップも雑というおまけ付きです。Bさんのようにポテンシャルをあっちこっちで余らせてはいけません。これがドライビングの最大の課題なのです。
 競技中、この二つのポテンシャルは無段階的に入れ替わりながら総合的なポテンシャルを合成します。この総合的なポテンシャルを理論ポテンシャルとと名づけます。図1のコースを走行した場合@Aのポテンシャルと理論ポテンシャルは図2のようになります。
スタートの初期はAタイヤの摩擦力に支配され、2速にシフトアップするころには徐々に@駆動力に支配されるように移行します。1コーナーアプローチ直前までは@ですが、ブレーキング開始と同時にAに変わります。コーナーリング中はAのまま、立ち上がりで徐々に@に移行するという感じです。
このポテンシャルの移り変わりはもちろん車種や仕様によって大きく異なります。スタートだけを例に取るとハイパワーFRはAの領域がとても長いです。4WDはAの領域がとても短く(場合によってはクラッチのポテンシャルに支配される瞬間があるかもしれません)、マーチのようなローパワー車でハイグリップタイヤを装着した場合もAの領域は短いです。
 速いタイムのドライビングは図3のようにとても精密にコントロールされたものなのです。僕はよくこのことを”綱渡りのようだ”と例えてお話します。ちょっと間違えると滑り落ちます。一筋の細い線(理論ポテンシャル)をひたすら狙ってドライビングすることがとても大切です。
僕はこの考え方をいつも基本にしています。ちょっと難しいし、考えれば考えるほど奥が深いです。特に厄介なのは理論ポテンシャルは変化するということです。今回わかりやすいようにポテンシャル率、つまり%で表現しましたから100%を超えることはありえません。これを絶対値で表現すると車の仕様や運転の仕方によって引き上げたり下げたりすることができるのです。これはセッティングやドライビング改造に大いに活用することができます。また、摩擦力は4コのタイヤに分解することができますし、さらに各々のタイヤの前後方向にベクトル分解することができます。それをわかりやすく説明した図が皆さんご存知のタイヤのグリップサークルなのです。

さて、あなたのドライビングは綱渡りですか?それとも幅広の足場板ですか?