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 前回は、このように車が動けば速いサイドターンができると言うお話でした。今回はそうするためにどのような練習や動作をしたらよいかのお話です。その前に前回のおさらい、速いターンの3大条件をもう一度、
@車両の前後方向に対する位置は、ホイールベース中心〜50cm前の範囲。
A重心との距離。又は車両外壁との距離は、50cm以内。
B旋回中の中心位置がパイロン位置と合致してズレやブレがない。
でしたね。

よくイベントで遅いサイドターンを見ていて思うことは、アプローチでの進入速度が速すぎて舵角が少なすぎることがとっても多いことです。このアプローチでは@ABの全てを実現できません。特にターンの成功率が低く苦手意識を持っている人は、リアーをスライドさせることばかりを考え、速い進入速度で強いブレーキングと少ない舵角の時にレバーを引いちゃうのです。そうすれば簡単に素早くスライドしますよね。これをやると旋廻の中心はフロントタイヤに近づき、テールのスライド量がフロントの進む量に対して極端に大きくなってしまいます。つまり
テールが外側にスライドする量>フロントが内側に進む量
というわけです。
旋廻中心をホイールベース中心付近に持ってくるには、
テールが外にスライドする量≒フロントが内側に進む量
にしなくちゃダメ。50:50の4WSのイメージです。この簡単な式は、自分のターンの悪さを顕在化させる重要な手がかりですからよーく覚えておいてください。
そして、全てはアプローチで決まります。サイドを引く直前の車の状態がポイントなのです。
@低い進入速度。
A大きい舵角。
Bアンダーステアーを出さない。
Cテールスライドに最低限必要な前後左右G。
アプローチの段階、つまりターン開始の直前の状態でドライバーがコントロールできるのはブレーキで車速と前後G、ステアリングで舵角と左右Gしかないのです。

これらの適量を身に着けるための練習方法を説明します。2本のパイロンを30m離して8ノ字ターンをやってみましょう。悪い癖がある人は必ず悪いターンをしちゃいます。そこで、パイロン間隔を10m〜15mに縮めてみてください。いやがうえにも車速は低くなりますから、舵角だけをコントロールすればよくなります。舵角は増えて(距離に対して切り返し量が多いし低い速度でスライドに必要な横Gを発生させるためには舵角を増やさざるおえない)、サイドを引くタイミングは遅れ(スライドに必要な横Gを待つ)、アクセルを開けるタイミングが早くなる(早く開けないと車が止まってしまう)はずです。このタイミングで上手にテールスライドさせ向きをかえることができれば、その感覚を忘れないように繰り返しましょう。パイロン間隔をどんどん広げていっても、進入速度と舵角は狭いときと一緒ですよ。最後に3速全開からフルブレーキング+シフトダウンで同じターンができればバッチリです。パイロンが1本しかない場合はスタート位置を極端に近くに持ってくるのもよい方法です。それと、8ノ字ターンの時、左右のターンでいつもうまく行かないほうが決まってる場合、舵角が左右同じでアプローチしているかどうかの点検をお忘れなく。
次に1本のパイロンを360度×5周ぐらいして見ましょう。5週回っている間に、サイドを戻したり引いたり、アクセルを開けたり緩めたり、ハンドルを戻したり切り込んでみたり。これらの3個の要素を順番に一つずつ試して見ましょう。自分の車の旋廻中心の変化と、旋廻速度の変化を感じて、因果関係をよく理解しましょう。僕の車の場合、サイドを戻すと旋廻速度が上がりますが、旋廻中心がドアーから遠ざかります。アクセルを開けると旋廻速度が上がりますが、一定量を超えるとアンダーが出て旋廻中心が離れます。ハンドルは切り込めば切り込むほど旋廻中心が近づきます。これは多分車固有の特性も含まれると思います。シティなどアクセルを開け過ぎると旋廻中心が前に移動して竜巻ターンになっちゃうものもあります。

もう一つ、具体的なポイントを教えちゃいます。
180度ターンを真横からビデオに撮影し、「進入時フロントバンパーがパイロンに重なる瞬間〜脱出時フロントバンパーがパイロンに重なる瞬間」の時間を計って見ましょう。普通再生ではとても計れません。3倍とか10倍のスロー再生で計るかビデオのコマ数を計ります。このタイムが1.0秒なら超スペシャリスト、1.2秒なら合格、1.4秒なら普通、1.6秒なら要トレーニング、1.8秒以上ならExe研究会実習参加をお勧めします。

2回に分けて解説したサイドターンは、主に180度以上のターンについてです。進入も出口も規制のない広い場所での1本パイロンターンや120度ターンはグリップかチョン引きサイドターンになります。いずれもパイロンに極限まで近づかなければなりませんが、チョン引きの場合今回解説したアプローチとはだいぶ異なります。それはまた後ほど。
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7 「サイドターンできますかA」 2003年6月28日

図@

図A

図@から図Aまでの時間を極めよう

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追記:2004年2月6日
サイドターンの手前の車速が速すぎると、リアーのスライド量がフロントの内側に進む量より多くなってしまい、旋廻中心がパイロンに遠ざかるように移動したり、フロントタイヤよりになったりしてしまいます。こうなると立ち上がりで車が前に進みだすのに遅れが生じて、遅いターンになってしまいます。だからサイドターンのアプローチでは車速を思い切り落とす必要があります。レポートE、Fを見てちょうだいね。

さて、この「車速を落とすと速い」という一見つじつまの合わない理論についてもう少し解り易く180度ターンを例にとって説明いたします。
180度ターンの重心の移動奇跡はUの字を描きますね。東から西にアプローチした場合、立ち上がりは東に戻ることになります。アプローチの段階でのベクトルは西向き、立ち上がりでのベクトルは東向きになります。感のいい人はもうわかっちゃったかな?
アプローチでのブレーキングは西に向いたベクトルに東方向のベクトルをくわえて矢印を短くすることになります。このブレーキングによって与えられた東方向のベクトルは立ち上がりでのベクトルと同じ方向を向くわけです。つまりはブレーキングが立ち上がり方向に助っ人していることになります。わかりますか?難しいかな??

アプローチのブレーキングでの減速=立ち上がり方向の加速

という方程式ですね。高校の授業みたいですね(^o^);;;;

「ブレーキングは速度を落とすから遅くなる」という考え方でターンのアプローチでも車速を殺せない方々は是非、この考えかたを取り入れてみてください。
「ターンのアプローチでのブレーキングは立ち上がり方向の加速である」これが正解!

では、極端に考えて進入側パイロン横で車が停車したらどうなるか?
これは車が「向きを変える」という動作に使われるエネルギーを全て失ってしまいますから、向きを変えるために新たにエネルギーを与えなくちゃいけません。その分立ち上がりに使うべきエネルギーが失われます。
最低限向きが変わるだけの車速はとっておく必要があります。

さて、今までの説明がわからない人は、
「テールがスライドする最低限度の車速まで減速せよ!」
だけ覚えてください。
どの程度のスライドか?う〜ん、私は90度以下かな。

さー、これらのヒントで今までやったことのない練習方法がまた一つ発見できましたね♪
ささ、練習に行きましょう。