Report
 コーナーリングの立ち上がりでアクセルを踏み込んでいきます。このとき一気にガバッと床まで踏んでしまったらいけません。もし仮にガバッと踏んでも挙動が乱れることがなければ、それはその手前が遅いだけのことです。これは遥かいにしえに古代人が記したとされる巻物「研究会レポート18」に書かれていたことは皆さんの記憶の彼方と思われます。忘れちゃった人は読み返せばいいんじゃないかな。
 適切な限界速度で曲がったら、立ち上がりはアクセルをジワッと開けてジワッとハンドルを戻すのが物理的な法則に従った理論です。しかし、このジワッと言うのがクセモノで、ジワーーッとしてたのではもたもたして限界を逃し、遅くなってしまいます。いわゆるアクセルがヌルイといわれる類です。たいがいは速く走りたいものだから早くジワッ!とアクセルを開けて、その量もちょっとタイヤの限界を超えてしまいそうなところまで頑張るものです。すると駆動輪は限界をちょっと超えて横滑りしだします。FFならアンダー、FR、4WDならオーバー、というのが一般的なバランスの上での挙動です。
 気持ち的にはそんな挙動はステアリングで適当に修正して、アクセルはお構いなしにさらに踏み込みたいものですが、それは残念ながらハイパワーの車ではムリです。路面のグリップが低いとなおさらムリです。大カウンターかスピンするか、出来たとしても素晴らしく遅いです。従って何かをして駆動輪の横滑りを停め、グリップを回復させる必要があるのですが、これはもうアクセルで調節する以外ないわけです。アクセルを踏みすぎて滑らしてしまったのだから、アクセルで責任とるしかないのです。
 さて、ここからが肝心です。このとき、アクセルをオフにしてはNGです。完全にOFF、つまり足の裏がアクセルペダルから離れるってのは完璧なNGです。微妙な減速Gをかけるような微妙なオフ、これもよろしくありません。ところが、こういうアクセルコントロールをしている人が実に多い。アクセルをオフにしてグリップを回復させ、その直後、またジワッ!っと踏み込んで加速し、事なきを得たとホッとしているのです。でもそれは遅い。その一瞬の減速が、文字通り取り返しのつかないことになるのです。
 立ち上がりで減速させてはいけません。減速禁止令発令です。そのためにはまず、右足のストロークを意識的に減らすことです。こっから加速というとき、ジワッと半分ぐらい踏む。それでも駆動力は充分得られます。タイヤは横の仕事から縦の仕事に移行する最中ですから大きな駆動力は必要ないのです。何度も書きますが、その手前が限界走行ならば小さな駆動力でも駆動輪は限界を超えます。そしたらほんの少しアクセルを戻す。例えば3mmぐらいの気持ちで戻す。減速は絶対させてはいけません。せめてその時の速度を保つ程度のパーシャルコントロールまでです。駆動力はプラスの領域のまま、それを少し抜く程度です。理想は、パーシャル+α(ほんのちょっと)を維持しながら、ステアリングで車の向きとラインを”駆動輪の横方向の仕事を減らす方向”に導いて、ちょっと加速しつつも回復を待つことができれば良いのです。減速(オフ)して回復させるのではありません。減速させないで回復を待つのです。この瞬間が綱渡りなんですね。いわゆるこれが「アクセル踏みっきり」、人によっては「全開」という状態です。床まで踏みっぱなし、とは同意ではありませんのでご注意下さい。車はなにもアクセルを床まで踏まなくてもレブリミットにはちゃんと到達しますよ。
 おわかりいただけたでしょうか。立ち上り減速禁止令。タイヤのグリップを凌駕するパワーを持った車には必須の心得です。だってライバルが徐々に加速してる最中にあなたは減速してるんですよ。


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19 「立ち上がり減速禁止令発令」 2007年2月20日