Report
 前回に引き続き、今回は本番でなにをやるべきかをお話します。受付とか車検とか、その手の手順じゃないですよ。よりよい結果を残すため、ステップアップするため、より速くなるためのお話です。本番は魔物がすんでいます。でも魔物が邪魔ばかりするとも限りませんよ。味方にもなることがあるんです。そんなチャンスを逃していませんか?

 @出来ることをやること
当り前ですね。でも、この当り前のことがなぜか出来ないのが本番の不思議なところです。だいたい結果のよしあしにかかわらず、お決まりの文句が”失敗しちゃったー”ですね。10人中9人以上がこの文句を言うか、心のなかでささやきます。例え1位でも”チョコチョコ失敗もしたからなー”なんてね。さて、この失敗には大きく2種類に層別できます。”やりすぎた”場合と”抑えすぎた”場合です。
前者はイメージが先行して実態が伴わないわけです。実力を遥かに超えるイメージはお奨めできません。”出来ることをやる”のですよ。”出来ないことをやってやる!”ではありません。そんなのは練習で好きなだけやればよいのです。そこで問題になるのが、自分の”出来ること”をどれだけ理解しているか?です。これは非常に難しいです。例えばサイドターンでパイロンと車体との距離を±何cmでコントロールできますか?コーナーリングアプローチで±何cmの誤差でパイロンに近づくことが出来ますか?この出来ることをを無視して、とにかくパイロンギリギリになどという過信したアバウトなイメージでは成功は遥かかなた、偶然を待つしかありませんね。テールスライドのコントロール領域も、横Gとブレーキングの強さを自分の出来ることの範囲内でイメージすることです。
一方後者の”抑えすぎた”場合はイメージが後退して実態を余らせるパターンです。全く逆の現象ですが、やはり原因は同じなんです。自分の”出来ること”をよく理解していないからおきるのです。
”出来ること”をどのようにすれば理解できるようなるのか、と思った方々は一つ前のレポート14に戻ってくださいね。

 とはいっても、どうしてもライバルに勝ちたいし、堅実な走りでは勝てやしないし、やっぱ強気なイメージで勝負するのが当り前でしょ。という威勢のいい方々のために続けます。
A出来ないことが出来ちゃった!?ことを焼き付ける。(←すごく大事)
時には本番の魔物が味方につくことだってあるんです。自分でもビックリするような、今までやったこともないような素晴らしいコーナーリングやサイドターンが出来ちゃったことってありますか?突然、なぜだかわからないけど出来ちゃうことですよ。不思議なことにこのような現象は練習ではまず起きません。僕の場合決まって本番、しかも後半区間に起きることが多いです。極めて稀な発生頻度です。そしてこの現象の発生には決まってあるパターンが存在することがわかりました。それは”無心”の状態のときです。通常はアプローチの段階で次にやるべきことをイメージしますが、この場合はイメージすらありません。もしかしたらイメージしたけど忘れてしまっているのかもしれません。イメージを遥かに超える速い車の動きに、頭がついて行かないのかも知れません。とにかく最中は心の中は空っぽで、自然に手足が動くという表現が正しいですね。このような現象はとてもショッキングで脳裏に焼きつきます。どのように操作したかではなく、どのように車が動いたか、が焼き付くのです。これはものすごく大切な経験です。決して忘れることなく大切にとっておいてくださいね。練習すればそのうち必ず意識してできるようになるんです。しかもセッティングを変えたときや、車を変えたときにでも、いつまでもずーとお役に立ちます。
いいですか、意識して出来るもんじゃありませんよ。追い詰められた必然性から生まれる偶然?なんです。”火事場のバカヂカラ”なんですから、走行前のゴリッパなイメージでは決して生まれませんよ。

 ”失敗は成功のもと”といいます。これは失敗したことを教訓によりよい成長をなす意味です。確かにこれも大事ですが、”ヒョウタンからコマ”も計り知れない価値を生むことがありますよ。まさに快心の走りですね。そんなときはゴール後に手足が震えちゃいます。
ぜひ、このコマを大切に。本番でしか生まれることのない貴重な財産なんですから。

ご意見、ご感想、ご質問はこちら。
15 「本番でやるべきこと」 2003年12月1日