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 皆さん、練習してますかー。月に何日、何本走ってますかー。週に何日、何本走ってますかー。以前ある選手がこんなことを言ってました。「モータースポーツって練習頻度が少なすぎる」。確かにそうですね。他のスポーツはだいたい毎日練習できます。学校の部活を見ても野球もサッカーもテニスも毎日練習してますが・・・。今年のワールドチャンピオン、M・シューマッハの両親は息子を走らせるために職人を辞めてカート場で働いていたなんて話も聞きました。アグリ選手も似たようなものでしょうか。極一部の恵まれた環境の人や佐藤琢磨選手のように自ら環境をつくった人達は練習に明け暮れることができ頂点を極めるんですね。でも、皆さんは運悪く毎日練習できる環境にないわけです。一方でライバルに勝つにはライバル以上に練習しなければいけません。練習量と腕の上達は必ず右肩上がりになります。本当ですよ♪でも、この右肩上がりの相関には傾きに個人差があります。簡単に言うと同じ練習量で1年でとても速くなる人とそれなりに速くなる人の差があります。センスや才能ですか?それももちろんありますがそれは小さな問題だと思っています。特に初級ほどセンスなんて屁みたいなものです。今回はより効率的な練習のお話です。

 練習でやるべきことは、
@うまく出来ないことを出来るようにすること。
Aうまく出来ることをより確実に出来るようにすること。
です。意識して練習していますか?タイムばかりを気にしていると、この肝心な二つのやるべきことが忘れがちになります。タイムは”出来ることをやった”結果の指標にすぎません。上記@Aとはまったく別の意味合いを持ちます。

@うまく出来ないことを出来るようにする。
これにはいきなり難関が待ち受けています。うまく出来ないのだから難関に決まってるじゃん。と、思った君は全く何もわかっていませんね。最大の難関は、うまく出来ていないことに気がつくことなのです。練習の第一はこの”気づき”から始まります。なぜ難関かというと、一つは正しいという思い込みがあること。もう一つは比較するものに乏しくあいまいだからなのです。ライバルのゴールタイムばかりを気にしていてはまず”気づき”は訪れません。なぜ?どこが?速いのかをよーく見る必要があります。見てもわからなければ横に乗ってもらってアドバイスをもらいましょう。さらに自分の車を運転してもらうのもよいでしょう。このとき漠然とコース全体の走り方を見たのでは”気づき”も漠然としてしまいます。ポイントを絞って、例えば1コーナーの侵入の仕方だけとかサイドターンだけとか、自分との違いをよーく感じて具体的に記憶することが出来ればしめたもんです。ブレーキングポイントが自分よりも全然奥で真似したとたんスピンしたとか、テクニカルでのハンドル操作の速さが全然違うとかね。そこで「すごいなー」で終わらせず、あきらめないで同じように出来るまで根気よく練習すのです。課題のないまま走り続けても大きな進歩は期待できませんし、何より時間がかかりますよ。

Aうまく出来ることをより確実に出来るようにする。
これは、反復することによる成功率の向上を目的とします。出来ないことが出来るようになった前回の練習で、本当に今日もちゃんと出来るのかを確認します。さらに1本目から出来るようになることも当然大切ですね。たまに成功する。たまに失敗する。この”たまに”が実にクセモノなんです。本番は2本しか走れません。ましてや練習ほどリラックスしているわけでもなく、路面の状況やパイロン配置も違うはずです。”たまに”成功するテクニックは本番ではまず使い物になりません。何回も反復練習して限りなく100%に近い成功率を身につけましょう。また、アプローチの仕方を色々変えても、なおも成功するようにすることも大切です。例えばサイドターンがうまくなったはずの君が手前に規制パイロンを置かれてステアリングの切り返しをさせられるとメロメロになったり、高速からのフルブレーキングで進入車速にバラツキがあったりとか。いろんなパターンで限りなく成功率を引き上げる練習が必要です。これをしないとイタチゴッコになって、迷路にはまってしまいます。本当は出来るはずなのに本番で失敗したり、失敗を恐れて攻め切れなかったり。こんな悔しいことはないよね。

 もうわかっている人もいると思うが、”気づき”から始まるこの練習のやり方は、1日10本足らずの走行本数では到底足りっこしません。たった一つのテクニックを身につけるのに40本、50本、それ以上走らなければならない場合もあります。1日10本しか走れないのであれば、次回の練習まで意識して課題を持ち越して続けるしかありません。時間が経てば課題を忘れちゃうかもしれませんから、とにかく自分が成長したい時期に密度をあげて練習することをお奨めします。一生続けるわけではありませんよ。たかが1〜2年努力すれば後は楽なもんです。
こういう練習をしている人と、毎回の練習でライバルのタイムを躍起になって闇雲に追いかけている人と、上達の速度に歴然とした差がつくのです。昔の知人がスキーのインストラクターのライセンス取得を目標に、「今日はボーゲン」と決めたら1日中ボーゲンをやり続けていたことを思い出しました。練習を”お気楽試合”にしちゃっていませんか?お気楽試合もそれはそれで楽しいけど♪とにかく速くなりたい人にはこの方法をお奨めいたします。

イベント前日の”公開練習”なんてのは”前日調整”もしくは”模擬試合”に名前を変えるべきですね(^o^)
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14 「練習でやるべきこと」 2003年11月13日