Report
 昔、筒井康隆さんの小説を読みあさった時期がありました。印象に残った数多くの作品の中で、タイトルは忘れましたがこんな話がありました。とある有名な物理科学者が町のパチンコ店に現れた。彼は一つの台を選択しその前に座り、アタッシュケースからコンピューターを取り出し、バッグからさまざまな最新ハイテク機器を取り出してその台のありとあらゆる因子を測定観察しはじめた。いつしか回りは黒山の人だかり。うわさを聞きつけてメディアも取材に来る始末。パチンコ店の経営者は、売り上げ全てを吸い取られるのではないかと心配し、何かと言いがかりをつけるがすでに周りの野次馬が許すわけがない。ついに科学者は答えを導き出し、おもむろに千円分の玉を買って、ハンドルをひねるのである。。。続く。

 ジムカーナは当日の朝に全員の参加者が今日のコースを知る。そのコースを車で走らずに歩いて観察して自分の”勝利につながる走り”を構築するのである。すでにこの時点で勝負は始まっているです。そこで間違った走りを構築してしまった人はどんなに上手に走っても勝てません。まー周りのレベルにもよりますが、イベントが上級者向けになればなるほど勝てなくなります。この勝利につながる走りを構築するには、
@自分で考える。
 慣熟歩行で自分で考えたり、過去の経験から導き出す。1本目の自分の走りを分析し改善する。
A上級者に教えてもらう。
 慣熟歩行で走り方を教わる。他人の走りを分析しよいところを真似る
の二つの方法、もしくはこれを合わせた方法があります。初心者の場合どちらか一方だけというのはあまりよくありませんし不利になる可能性がより大きいですね。いずれにしても、ただ漠然とコースを覚えるだけではダメで、走ってる自分の姿、特に要所要所での適切な場所と適切な姿勢(向き)をイメージすることが大切です。
 さて、この時点で完璧最速な理想的イメージができる人は日本に何人いるのでしょうか?もちろん僕はできません。ただ、より理想に近いイメージはできるときがたまにありますが。

 理論的に考えれば、その車の最速ラインは必ず存在するはずです。高性能なコンピューターに車、コース、タイヤ、環境、、、ありとあらゆるデーターを入力して、最速ライン解析プログラムなるものに演算させれば、ラインはもちろんシプトアップポイント、ブレーキングポイント、舵角、、、そしてゴールタイムなど全ての走行イメージをシミュレーションできるのです。まーそんなソフトは何年たってもできないけどね。どーしてできないかというと、入力するデータの精度と量が膨大で答えが出るころには翌週の日曜日ぐらいになっちゃうから。でも、限られた時間の中で、自分で考えたり、人に教わったりしながら、この理論的理想というものに少しでも近づけなければなりません。そのとき難しい計算や図形は必要ないですよ。何より頼りになるのは自分の過去の経験です。僕はこれしかないと思います。

 理論的理想が過去の経験とはこれいかに?と思われるかもしれませんが、前述のように計算で導き出すことが到底できないのですから仕方がないのです。ドラテク雑誌などに書かれている最速ラインも別に誰かが計算して出したものではなく、プロドライバーが過去の経験の話をしているだけなのです。但し、この最速ラインを物理学者が解析すれば理論的にほぼつじつまが合うはずなのです。(過去にこのような解析書物を見たことはありませんが。)だから自分の過去の経験を上手に分析して正確なデータの蓄積をすれば、必ず理論的理想に近づくことができるのです。一つのサーキットを走りこむことや、ビデオ分析すること、師匠に運転してもらったり、他人のラインをまねてみたり、いろんなことを試してみて、結果と比較してみて、よりよい方法を見つけたなら、それは間違いなく理論的理想に近づいているのです。そしてそのうち大前提のような大切なものが見つかるはずです。
見つかった大前提を、今度は逆に理論的になぜ速いのかを考えるのも面白いですが、必要もありません。但しそれを他人伝えようとするときには大変便利なことは確かです。

 経験の積み上げで大切なのは、短時間内での繰り返し、やったことと結果の記録、結果の良否判定、の3点です。こういう練習を毎週やり続けると、半年で”毎月1回のイベントだけを10年間続けて得たもの”を超えることができます。
この最大の武器を頭の中に携えて慣熟歩行すれば、ライバルに1歩も2歩もリードできること間違いありませんね。

次回に続く。冒頭の小説も次回に続く。

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10 「理論的理想ありき」 2003年8月4日