参戦記 (2011年)



大会名称 日付 場所 天候 クラス 結果
全日本ジムカーナ
第2戦・開幕戦
2011年4月23〜24日 名阪スポーツランド
Cコース(奈良)
ドライ PN1 3位

 ブッチギリで圧勝するつもりだったが返り討にあった。だがそれほど落胆はしていない。なぜなら楽しいから。ジムカーナが、全日本が、PN1クラスが、そしてフィットRSが、今はとても楽しいから。エグゼスポーツフィット発進!

 昨年の最終戦本庄ラウンドでさまざまな思いがふっ切れ、先のことを考える間もなく翌日の月曜日にはRX7の売却を公にした。とにかく手放したかった。手放さなければ次が始まらないと思った。だから今後のことを他人に聞かれても”ノープラン”と応える他なかったのだ。新型フィットRS6MTを試乗したのはRX7を手放してから1ヶ月もたった頃だった。馴染みのディーラーの試乗車をレブリミットまで回して、ひと目惚れした。だが、この頃はまだ翌年のPNクラスのタイヤに関するレギュレーションが定かではなかった。フィットは、Sタイヤが使えないならRE11しかなく、SタイヤならヨコハマのA048しか使えるサイズはない。どちらに決まっても選択肢がないぶん不利なわけだが、新しいおもちゃを手に入れる高揚と、PN1は新型フィットRSしかない!という思い込みが勝って、購入をためらう理由にさえならなかった。むしろ新型車に旧モデルのA048で優勝したらさぞかしかっこいいだろうな、などとあらぬ夢さえ膨らませていた。それよりも新車登録が迫った頃には乗車定員に影響を及ぼすロールバー規定の方がはるかに切実だったが、直前にロールバーの装着が義務から推奨に変わったことを公示前のJAFモータースポーツ局から電話で聞けたのはまさに幸運だった。あわせてタイヤの縦溝規定も知ることとなり、二重の追い風を感じながらの新車登録だった。

 3月11日に発生した東日本大震災の影響で第1戦鈴鹿ラウンドが中止となったため、2011年全日本ジムカーナシリーズは、この第2戦名阪ラウンドが開幕戦となった。福島以北からの参加者が佐川君を含め4名。風雨の激しくなった土曜日夕方の開会式で4人が前に並び、宮城県の工藤選手が被災選手を代表してスピーチをした。現状の報告と感謝の気持ちと強い決意、そしてこの開幕戦に来られなかった2名の選手の言葉を預り代弁してくれた。工藤選手から事前に名阪への参加表明メールを頂いた時、私は心から喜んだ。彼が私のフィットを観にわざわざエグゼスポーツを訪れたのは震災前のことだった。その後の彼の努力と熱意が開幕戦のパドックに2台のフィットRSを並べたのだった。私のいかついシルバーメタリックの隣に工藤選手の眩いホワイトパール。彼の熱いスピーチを聞いて思わず涙が出て、熱が移って、そして燃えた。

 決勝1本目は2番手タイムにパイロンタッチのおまけつき。ゴールして金曜日から入らなかったことを少し後悔した。定番となったコース後半の外周路をフィットで初めて走る違和感。DC2ともRX7ともまったく違う動きの車で縁石の攻め方も知らぬまま決勝を迎えてしまった。完熟歩行でもまったく気に留めず縁石インカットのラインをイメージしたが、跳ねて着地までの滞空時間の長さまではイメージできていなかった。RSといえどもミニバンなのだ。
 決勝2本目のスタートラインについて、目の前に広がる満員のギャラリースタンドに目を向けると、多くのビデオカメラが私のフィットに向けられていた。そのカメラの数たるやDC2の頃を超えていたかもしれない。全日本の舞台でこの注目されっぷりがたまらなくしびれる。昨年はわずか5台だったPN1クラスはいきなり22台に膨れ上がった。車種もデミオ、スイフト、CRZ、そしてフィットと多彩。コストと手軽さと新しさに人気が集まったのだろう。デミオ以外はまだ少数派だがその牙城を初っぱなから崩すのは俺のフィットだ!という意気込みでスタートしたのだが…。敗因の一つはシフトの選択ミス。もう一つはタイヤ、だと思いたい。フィット購入後に買ったタイヤは、いまだ4本なのだ。震災の影響でBSタイヤが入手できず、やむおえずさんざん練習で使い古したタイヤで走らざるおえなくなった。4月は練習を控えて貴重な4本を温存し、3Dパターンが消えたRE11で決勝を走った。雨じゃなくてよかったと思う。6月のタカタまでには造っていただきたい。BSさん、よろしく。

 この勢いでPNクラスの盛況が続けばあっという間にメインのクラスになるだろう。そうなるとSタイヤはその他のタイヤとなって、通称ノーマルタイヤが主流となってしまう。Sタイヤの経済性の悪さにうんざりした各地のビギナーがノーマルタイヤを使って独自にジムカーナを楽しみだしたのは10年ほど前だろうか。徐々に普及してその地位はとうとう全日本にまで登り詰めてしまった。次に予想されるのはノーマルタイヤがノーマルじゃなくなること。柔らかくすぐ減るくせに高価なハイグリップノーマルタイヤの登場や、今のSタイヤに縦溝掘っただけのふざけたタイヤの登場が懸念される。悪習は繰り返される?それではまた各地のビギナーがジムカーナを経済的に楽しむタイヤがなくなってしまう。タイヤメーカーはトップカテゴリーだけじゃなく裾野も良く見て、ジムカーナ界全体にとって最適なタイヤの開発をすべきだと思う。さもなきゃ余計なことはなにもしないで今のまましばらくほっといてくれてもいい。

 フィットが納車されてすぐ、12月10日の日記に写真を載せ、一から出直します、と私は書いた。この一言は安易な気持ちで書いた言葉ではない。RX7は一般的な経済力ではサポートをもらわなければ走らせることができない車だった。それは、多くのお客さんたちと目線の高さが違うジムカーナだった。高価なホイールをたくさん借りて、毎戦でかいタイヤを頂いて、年間のオイルを支給され…。気づいたら総帥とか呼ばれ、周りにドライバーがたくさん集まって、全日本では集団で行動して一大勢力になっていた。そういうのに憧れてくれる人もいるだろうけど、私の目指すカッコ良さとは違う。だから全部なくしてもう一度、たった一人でフィットと一緒にがんばるぞ!そういうつもりで書いた。企画書は一通も書いていない。開業以前から懇意にしていただいているアジュールさんにだけ甘え、それ以外は申し訳ないが望まなかった。ご心配いただいたレイズさんには、男気をご理解いただき暖かい声援も頂いた。全日本の宿泊も一人、チームパドックにも属さず単独孤立してこの一年をフィットと一緒に闘う決意だ。当たり前の車と巧さがあれば誰だって日本一を目指せるんだぜ。N2インテグラの頃から、これが私の目指すカッコよさだから。新生PN1クラスとフィットの応援をよろしく!

 3年半ぶりの参戦記は伝えたいことが多すぎて。
がんばります!!


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