参戦記
 昔、入場料を払ってプログラムを買ってワクワクしながら観戦したJAFCUP。ついにそのJAFCUPを僕は手に入れた。JAPANCUPと言われたころに比べれば質も重みも半減したが、僕にとってのJAFCUPは今も昔も変わらない輝きなのだ。表彰台の一番上でJAFCUPを持った手を高々と上げる姿を何度も想像したが、まさに現実のものとなった。

(リラックス→集中力)
前日の土曜日から参加するため、金曜日の朝からノンビリ移動した。今回は次男を連れて行き、途中おいしいものを食べたり、紅葉を楽しんだりしながら9時間かけて現地入り。温泉に入り、豪華な夕食をいただいた。土曜日の公開練習1本目はリアータイヤの皮むきのため大ドリフト。2本目はライバルの佐野選手のよいところを「じゃー俺もやってみよっかなー」なんて真似して終わった。全く気負いなく、あせりもなく、運転することを楽しんでその夜はぐっすりと眠った。そして迎えた本番当日、1本目の走行直前に集中力はピークを向かえ、2本目のゴール直前では記憶にないほど集中することが出来た。全日本の結果も振り返ればそうだが、前日から気合が入ったイベントでよい結果が出たためしがない。キョウセイも土曜日から楽しめたし、タマダは金曜日の練習走行を1本減らして早々に退場した。出発の前日にあるお客様が「気合を入れないで楽しんできてください」といってくれたのを覚えている。気合と根性では車を速く走らせることが出来ない。レポートにも以前書いたが、精密機械のように敏感に感じて、正確に迅速に反応し、時には予測する必要があるわけだから走行中は集中力以外に必要なものはない。技術は事前に準備するもので前日やましてや当日になにをどうやろうが出来ないものは出来ないし、出来ることは出来るのである。これはオリンピック選手が前日に練習しないのと同じこと。集中力のピークを本番に合わせるように仕向けたのがよい結果につながった。ボクサー相手に子供の喧嘩のように両手を必至にブンブン振り回してもヒットすることはないのである。過去を振り返ればずいぶんと心当たりがある。
(良いことを試して真似る大切さ)
前日練習で優勝候補の一人でもあるライバルの佐野選手からよいことを教えてもらった。その日僕はビデオ撮影を佐野選手ともう一人の選手の二人に絞込んだ。全ての選手がゴール前のスラロームへの進入でオフセットされたパイロンをサイドを引いて通過したが佐野選手だけがグリップで通過したのだ。そしてその区間タイムがとても速かった。僕も1本目は躊躇なくサイドを引いたのだが2本目は彼の真似をしてグリップで通過した。非常にすばやいステアリング操作と微妙なアクセルコントロールが要求されるのだが何とか真似することが出来たと思うし、運転していても速いことがわかった。ところが結局、2本目にグリップで通過したのは僕と佐野選手だけ?他の選手は2本目もサイドを引いていたように思う。ここに大きな差がある。グリップが速いことに気がつかなかった人。気がついたけど出来ないのであきらめた人。サイドを引く方が絶対速いはずと信じて疑わなかった人。いずれにせよ僕は1歩リードした。でもあきらめた人も練習すればすぐに追いつくけどね。
(サイドターンの威力)
区間タイムを計るとサイドターン後の区間全てに○がつく。進入速度、距離と旋廻速度、アクセルONのタイミングをひたすら練習すれば誰にでも出来るはずなのだけど、幸いなことに今のところ僕の最大の武器となっている。例によって中間で0.3秒も遅い僕がゴール前の270度ターンを通過してゴールすると0.5秒も速いのである。もちろん全てが270度ターンで逆転したわけではないが貢献度はかなり高い。コーナーリングは様々な形状があってそれぞれに異なったアプローチを要求されるが、サイドターンはいたって単純。コースが変わっても、1本のパイロンを右か左にターンするだけのことで、沢山回るかちょっと回るかの差しかない。こんなおいしいことをほっとく手はないよ。
(優勝の瞬間)
本当は正式結果が発表された瞬間がそれなのだが、僕はゴール後に自分のタイムを聞いて大半の喜びを使ってしまった。以降3人の選手の走りを見ながら自分の確定順位が上がっていったが気持ちはだんだん冷静さを取り戻し比較的静かに優勝のときを向かえた。でも周りの方々から祝福の握手を頂戴し心のそこからうれしさが湧き上がってきた。息子を抱き上げ幸せだなーと感じた。N3の森嶋選手は沢山の仲間に囲まれて涙を流していた。これが僕がJAFCUPの重みを感じた瞬間だ。今までの努力や苦労が報われ、祝福される喜びをかみしめて思わずあふれ出たのだろう。本当に感動的で僕も思わずホロホロリ。
(予知能力?)
参戦記のJAF関東第2戦第3戦に登場した志賀野選手がS1クラスで2位にはいる大健闘をしてくれた。去年の僕のJAFCUP5位を喜んでくれたとき、志賀野さんにも夢じゃないよといったことを今でもはっきり覚えている。関東第2戦で出走2台のBクラスで走っていた彼がJAFCUPで好成績を残すことなんか当時僕以外に誰が予想しただろうか。予知能力なんかあるわけがない。ただ希望しただけで、彼は当然僕以上にこの結果を希望し努力したからに他ならない。今じゃ僕が彼の走りを見て教わっているのである。最高にかっこよかったよ、おめでとう!!
(表彰式では喜びましょう)
僕は最前列で表彰式を見ていた。うれしそうな人、恥ずかしそうな人、悔しそうな人。僕は堂々と大喜びをして見せた。これがやってみたかった。最高の気分!コメントを求められ沢山の拍手と笑顔が跳ね返ってきた。
ところが中にはコメント終了後に拍手をもらえない選手がいることに気がついた。別に嫌われているわけではない、コメントの終わり方に拍手のタイミングがないのである。マイナス思考で発言すると拍手するのに躊躇する。喜んでいない人に拍手するのはなんとなく失礼に感じるからである。確かに1位の人以外は誰かに負けたわけだが、多くの人に勝ったからこそ表彰台に上がっているのであって、やはり気持ちよく拍手をいただこうじゃないか。表彰台で悔しがられたら彼に負けた人たちはもっとしらけるしね。

家に帰り息子が喜んでくれたことにまた喜んだ。喜ばせ喜ぶ。人は一人じゃ生きられない所以です。喜ばせたい人がいますか?僕には幸せなことに沢山います。応援していただいた皆様、サービスに来ていただいた田辺さん、一緒に戦った志賀野さん、妻と息子達、心からありがとう。
大会名称 日付 場所 天候 クラス 結果
JAFCUPジムカーナ 2003年11月1〜2日 イオックスアローザ ドライ N2 1位