参戦記
 第6戦をお休みし、ポイントランキング3位で迎えた第7戦。先週の関東戦で負けたことが僕にはよい薬になった。負けて決心が付いた金曜日からの現地入りのおかげで、またまたN2クラスエグゼスポーツ勢は台風に負けじと猛威を振るった、と思い込んでいる。

(台風一過)
台風10号の影響で不安定な天候の金曜日、今シーズン初めての赤白そろっての現地入り。実は当初僕は行くつもりがなかったが、前述の通り急遽月曜日に申し込みを半ば強引に行い、何とか走ることができた。午前はウェット、午後はドライと言う最良のコンディションのなか走ることができ、昨年のJAFCUPの感覚を取り戻すことができた。そして土曜日公開練習は雨天中止。土曜日入りした選手は当日の2本のみとなり、我々は大きなアドバンテージを得ることになる。もちろん本番コースは全く違うレイアウトだが、何より精神的、体力的に優位に立てた。
そして迎えた日曜日の決勝、台風一過の好天に恵まれ、思う存分楽しむことができた。

(スターからのアドバイス)
全日本第1戦の参戦記で、山野選手に話しかけてみようと決心したが、ついにそのときが来た。今までは挨拶を交わす程度だったが、金曜日の練習で決定的なチャンスが来た。佐川選手が走行するため、僕はコントロールタワー2階に上がったら、部屋のコース側隅に山野選手がいた。そして佐川さんがスタートした直後、山野選手がその走りに見入ったのである。僕はチャンスとばかり、アドバイスをお願いした。そして山野さんは親切にアドバイスしてくれた。走行を終わった佐川さんを呼び寄せ、再びマンツーマンのご指導をいただいた。
たった1回の走行を外から見ただけで佐川さんのドライビングの弱点と今後のトレーニング方法をアドバイスできるのだから、本当にすごい!僕も佐川さんもこのアドバイスはジムカーナを続けている限り忘れないだろう。
そして、土曜日の夜。8名で会食しているところに山野選手が偶然現れた。僕は一緒に写真をとってもらった。38歳にもなってちょっとはしゃぎすぎたと反省しているのである。

(巧みなコース設定)
ラリーキッズ伊那のAパレットといえば、必ず話題に上がるのが2コーナーの侵入と3、4コーナーのライン、5コーナーの難しさである。タイム差も5コーナーまでが大きく、僕も何度走ってもうまく行かない。でも、必ず5コーナーまでは正周りで設定されるのだが、、、。土曜日のコース図をみてビックリした。この当たり前の設定がないのである。それだけではない、高速ブラインドの直後に設けられたパイロンターンや、いつもの位置より少しパイロンをずらしたシケイン、ブラインド最終コーナー後の3本スラロームは速く抜けるための許されるラインが最終コーナーアプローチで決まるという難易度だった。充分なラップも可能で、ミスコース時の安全性にも配慮されとてもよいコースだった。参加者の口からは「変わったコースだ」と言う戸惑いの言葉をよく耳にしたが、それが本来のジムカーナなのだ。僕は設計者の料理を思う存分味わった。

(快心の2本目)
1本目、スピンで後退した佐川さんが2本目2位に食い込むタイムでゴールした。僕はその瞬間スターティンググリッドにいた。すごく興奮したしうれしかった。二人しての表彰台のお膳立てができたのである。これほど気合の入ったスタートはいまだなかったかもしれない。スタートフラッグが降られ僕は大声で気合を入れてからクラッチをミートした。走りながら何度もコースアウトしそうになり、ゼブラにタイヤをぶつけながらアクセルを踏み抜いた。まさに歯を食いしばってがんばれたのである。そしてゴールタイムは佐川さんの2/100落ちの3位。指が折れんばかりに拳を握った。結局田原選手に抜かれ僕たちは3位4位となったが大満足だった。佐川さんに握手しながら抱きついたが、、、そこまでしなくてもよかったのだろうか?

(気がつけばセンサーが)
1本目は昨日降り続いた雨により流された土がコース上にうっすらと残り、思ったよりもグリップしない。2本目、路面温度は上昇するも、コンディションがクリーンになったため本来のグリップ力に回復した。これは1本目の走行直後に予測できたし、0.5秒のタイムアップも予測した。完熟歩行のときサイドターン箇所の路面がターン前半と後半で異なるため、サイドの戻しとステアリングの戻しを早めにしなければスライドが止まらないとも思った。
昔、全日本選手の雑誌のコメントやドライビングHowto記事に、路面が荒れているからとかタイヤカスがあるからという理由でラインを外す、などというものを読んでも全く理解できなかった。荒れていようが、綺麗であろうがお構いなしに感じないのである。でも最近それがようやくわかるようになってきた。感じるし、予測できるし、タイムへの影響力も実感できるのである。いつの間にやらセンサーがレベルアップしていた。あきれるかもしれないが本当に極最近の変化である。

(歓喜の中の幸せ)
誰かの優勝が決まった瞬間、ギャラリー席から歓喜と拍手がひときわ起き、あー仲間が優勝したんだな、と思うことがビッグイベントにはよくある。今回たまたま僕はその歓喜の中にあって、感動を分けてもらう幸運に恵まれた。地元長野の柴選手がS1クラスで初参戦し優勝したのである。そして例によってまたまた感動のあまり涙腺が開いてしまった。
柴選手は先週の関東戦でもWエントリーの上島選手と二人でブッチギリのタイムをたたき出し、わずかに上島選手を抑えて優勝をした伊那スペシャリストなのだ。N2クラスの1本目の走行が終了し、僕たちはたまたま柴選手達のテントに行った。挨拶して、雑談している間にいつの間にかテント内に居座るようになって、S1クラスの観戦をすることになった。クラス2番目に出走した柴選手の走りをみて、相変わらずうまいなーと見ていた。もちろんタイムも好タイムだが、なにせ2番手出走のため盛り上がりに欠けた。ところが、そのタイムがいつまでたっても抜かれないのである。結局1本目をトップで終了した。これはひょっとしたらいけるかもしれないと思い、2本目もまたテント内で見守ることになった。全日本のそうそうたるメンバーが一人また一人とターゲットに手が届かない。柴選手も2本目走行を終えて早々にテントに戻ってきてみんなと一緒に行く末を見守った。そして最終ゼッケンのチャンピオンがゴールして、タイムがアナウンスされ、テント内は歓喜と、拍手があふれかえった。柴選手の汗をかいた顔があふれんばかりの純朴な笑顔になり、僕も祝福の握手を交わした。
帰り道、佐川さんと食事をしながら、またあのときの感動を語り合った。そして二人で柴選手に感謝した。

(新型ヒーロー現る)
N3クラスの安部選手が第2戦に続き2勝目を上げた。非常に個性的な彼の、個性派ぶりをちょっと紹介しよう。
全日本戦は、申し込みと一緒に選手カードなるものを書く。これがアナウンサーのしゃべるネタになるのだが、彼が書いたカードの今回の目標欄は「圧勝!」だそうだ。1本目走行中のそのアナウンスを聞いて彼を知ってる人たちからは「彼らしい」という笑いが起きた。そしてゴール、そこでまた彼らしいパフォーマンスが炸裂した。なんとアナウンサーがタイムを言う前に窓を開けてガッツポーズをしたのである。これには僕も驚いた。すごい自信と信念だ。そして、見事トップタイム!彼はまたしても一躍ヒーローになった。そして結局2本目も彼の自信作は抜かれることなく圧勝を演出したのである。表彰式でマイクを向けられて、本当にうれしそうに「楽勝でした!」と言ってのけた。みんなが彼の世界に引き込まれてしまった。

家に着いたのは0時過ぎ、風呂に入って、ビールを飲みながらテレビをつけるとシドニーオリンピック女子マラソンで金メダル取った高橋選手のドキュメントをBSでやっていたので2時まで見てしまった。走ってる最中に何を考えてたか、トップでスタジアムに戻ったときの大歓声をどのような気持ちで受け止めてたか、小出監督やコーチへの感謝の思い、デッドヒートを演じたシモン選手の談話。今日僕が感じたことと重なって、またティッシュ片手に見入ってしまった。スケールは全然小さいが僕も同じで、今はただただジムカーナができることが楽しくてしょうがない。

津川選手!チャンピオンおめでとうございます。僕は同じ舞台を走れて光栄だ!!
大会名称 日付 場所 天候 クラス 結果
全日本ジムカーナ
第7戦
2003年8月9〜10日 RK伊那 ドライ N2 4位