参戦記
佐川選手がついに表彰台に上った。両手に持ったトロフィーと楯を高々と掲げ、ダンロップ2強にシャンペンシャワーの手荒い祝福を受けた姿をみて、目頭が熱くなった。

(タイヤの選択)
この日は気温16度程度、曇り、半袖では肌寒い陽気だ。BSユーザーの誰もがWTコンパウンドを選択する中、佐川選手はTTコンパウンドを選択した。他の選手が佐川選手のタイヤを見に来ては、首を傾げていたらしい。私もWTの方がよいのではないかと言ったし、山野選手に聞いてもWTを薦められた。彼の選択が正しかったか、間違っていたかは、当日同じコンディションで比較したわけではないので知る由もないが。彼が彼の信念でTTを選択したその勇気と自信に感服した。そして、結果は堂々の3位!人の意見に惑わされてWTを選択した人がいるとすれば、その人は今度は佐川さんの結果に惑わされることになる。彼の選択は、日ごろの練習で培った彼だけの財産なのである。彼ほどの財産もちは、周りのデータなど眼中にないかのように見える。WTを薦めた私が恥ずかしい。
これを読んで勘違いしないでほしい、WTがいいとか、TTがいいとかいっているのではない。これは自らが培った財産への信念の話であることを理解してほしい。

(そこいくと私は、、、)
私もTTを履いた。決して佐川さんの真似をしたわけではない。もっと状況は深刻だ。WTを履きたかったのだが、WTを持っていかなかったのだ。笑いたい人は大いに笑ってください。5月も半ば、最近は初夏の様相だし、4月のイベントでもTT投入を迷ったことがあったため、今回WTを工場においてきてしまった。手持ちはTTとレイン用の048。しかし当日の気候をもってWTを無性に履きたい状況になった。私にもWT選択の信念があったが、なんともお粗末な、自分の横着が原因で、もっとも重要な選択肢を奪ってしまったのである。応援していただいてるお客様に申し訳なく思い、帰りの高速道路ではひたすら反省した。
すべてがよりベストな状況で望めるように、できる範囲の努力を怠らないこと!自分に言い聞かす。

(矢島選手の熱意)
私のパドックは矢島選手の隣だった。去年までA1クラスを引っ張ってきたチャンピオンだ。4月29日のSUGOでの練習でご一緒させていただいたが、DC2のセッティングで頭を抱えていた。1本走るごとにショック交換やスプリング交換をしていた。そして今回、(多分金曜日も)土曜日も日曜日も、1本走るごとにあれこれ交換していたのである。一進一退を繰り返しながらも、確実にライバルとの差を詰めてきて、本番2本目でとうとう5位に食い込んだのである。その熱意と成果に驚いた。決して妥協することのない勝負への執着心は本物の全日本選手だと思った。私は頭が上がらない。
ここで少し注意だが、1本走ってセッティングを変えるのは矢島選手のような超A級ドライバーだからこそできることで、誰もがまねできることではない。たった1本でその車のベストな走りができなければ、セッティングの良し悪しはタイムに現れないからである。実際、矢島選手は極めて成功率の高いドライビングをする。それができない人は真似するとドツボにはまる。ただし、勝負への執着心は各々違った方法で誰でも真似できることである。

(警告!)
N車の車重について、(SAは-50kg)
@燃料満タンでカタログ重量以上。
A走行中いかなる状況でも基準重量以上。
上記@とAが両方守られているかの確認を必ずしたほうがよい。

(ビデオでの中間タイム計測方法)
土曜日の公開練習コースは日曜日の本番コースと同じだろうという読みがあり、土曜日からビデオ撮影をして、速い選手との区間タイムを測定し日曜日の本番に臨んだ。私のビデオでの区間タイム測定法を紹介する。
撮影はコースの全面を見渡せる、できれば高台がよい。ズームは引いて(ズームアップは厳禁)、車両の進行方向を多く画面に入れる。コースを6〜8区間に分解する。精度を上げるには、画面を横切る方向で、パイロンや縁石の切れ目、路面の白線など目標物を決める。メモリー付ストップウォッチで測定して記録する。自他問わずよい区間タイムは○印、自分の悪い区間タイムは×印をつける。
ここでこの中間タイムを鵜呑みをすると間違いを起こす危険がある。私は×印の区間の前後を含め、スロー再生してさらに10分割ぐらいの区間タイムを測定するのである。このスロー再生と、前後を含めた細分化がミソである。きっと真の原因が見つかるはずである。
今回、津川選手と私で、スタートから1コーナー出口で0.6秒近い差があった。しかしスロー分析すると1コーナーのコーナーリングでの差が大半だった。スタート直後の長い直線でのパワー差だろうという予想を見事裏切ったのである。ぜひ、お試しあれ。

今回増刊号として、佐川選手がコラムを書いてくれる(ことになっている)。こうご期待。

ダンロップ2強の牙城を崩すのは、並大抵ではない。ライオンの目の前をブンブン飛び回っているハエの気分だ。手で払われればいとも簡単に散っていく。でもすきあらば、その眉間に止まってみたい。ヘンな例え(^^)
大会名称 日付 場所 天候 クラス 結果
全日本ジムカーナ
第3戦
2003年5月10〜11日 SUGO ドライ N2 7位
写真:N2クラス表彰式
ゲストコラム「全日本への道」 著:佐川和良